発注と注文の違い。業務フローや発注書の管理に関する規定とは
ビジネスシーンにおいては、発注や注文によって商品・サービスが受注されて、納品が行われる流れが一般的です。しかし、発注と注文は混同されやすいものの異なる意味を持った言葉です。
受発注部門や営業事務を担当する管理者のなかには「発注と注文はなにが違うのか」「発注と注文の業務フローを知りたい」などと気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、発注と注文の違いや業務フロー、発注の際に発行される発注書について解説します。
▼こちらもおすすめ
社内宛に発注依頼メールを送る際の注意点。スムーズに発注するポイントとは
目次[非表示]
- 1.発注と注文の違い
- 2.発注業務の基本的な業務フロー
- 2.1.①見積りの依頼
- 2.2.②発注書の発行
- 2.3.③納品後の検品
- 2.4.④料金の支払いと領収書の受領
- 3.発注書の管理に関する規定
- 4.『TS-BASE 受発注』で帳票の電子化を実現
発注と注文の違い
発注と注文には法律による定義はないものの、ビジネスシーンにおいてはやり取りをする相手に違いがあります。
▼発注と注文の違い
発注 |
注文 |
企業とサプライヤー(※)間での取引 |
個人顧客と企業間での取引 |
発注とは、企業が取引先のサプライヤーに対して、特定の商品やサービスの供給を求めることを意味します。
一方で、注文は顧客がオンラインストアや小売店、飲食店などにおいて商品・サービスを購入する行為を指すことが一般的です。
なお、仕入れにおける受発注業務や発注業務の課題についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
発注業務が難しい…! よくある課題とフローを改善する3つのポイント
※サプライヤーとは、商品やサービスを供給する企業のこと
発注業務の基本的な業務フロー
発注業務は基本的に見積り、発注書の発行、検品、支払いの順で行われます。
個人顧客と取引する注文の場合も基本的な流れは発注業務と同様ですが、発注書(注文書)の発行・送付は行わないことが一般的です。
①見積りの依頼
発注業務を行う際は、発注先に対して見積りの依頼を行う必要があります。見積書に記載してもらう内容としては以下のとおりです。
▼見積書の記載項目
- 商品・サービスの明細
- 数量
- 単価
- 合計金額 など
見積書を確認したうえで、内容に合意する場合は正式な発注へと進みます。ただし、見積書の内容に変更を求める場合は、交渉を行ったうえで見積りの依頼を再度行う必要があります。
②発注書の発行
見積りができたら、発注書を発行して正式な発注を行います。
発注書とは、発注の意思表示を示して取引の事実を証明する書類です。法的な発行義務はありませんが、企業間取引においては発注側と受注側で認識の相違を生じさせないために発行しておくことが一般的です。
▼発注書の主な記載事項
- 取引先の企業名・担当者名
- 発注日
- 発注番号
- 発注内容の明細
- 発注金額
- 支払条件
- 納期・発注書の有効期限
- 納品場所 など
③納品後の検品
発注後、取引先による納品が完了したら検品を行います。検品とは、納品物の品質や納品内容に問題がないかを確認する作業です。
▼検品の際に確認する項目
- 納品物に破損や不備がないか
- 納品物の仕様や規格が発注書と相違ないか
- 納品物の数量が発注書と一致しているか など
検品を行って問題が発覚した場合、発注先へ問い合わせを行う必要があります。
④料金の支払いと領収書の受領
検品で問題がなければ、発注先に受領書を提出したうえで請求書に従って料金の支払いを行います。
料金の支払いが終わると、発注先から領収書を受領して取引が完了となります。
なお、受注業務のフローについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
発注書の管理に関する規定
発注時に発行した発注書は、国税関係書類としての注文書に該当します。そのため、管理方法について法令上で規定されています。
保管期間
法人が発行する発注書の保存期間については、以下のように定められています。
▼法人が発行する発注書の保存期間
事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間
ただし、青色申告書を提出して欠損金額が生じた、もしくは青色申告書を提出せずに災害損失金額が生じた事業年度においては10年間の保存が義務付けられます。
なお、注文書の保管期間についてはこちらの記事をご確認ください。
注文書の保管期間・方法とは? 電子帳簿保存法改正のポイントも解説
出典:国税庁『No.5930 帳簿書類等の保存期間』
保存形式
発注書の保存については、紙媒体のほかに電子データとしての保存が『電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律』(以下、電子帳簿保存法)によって認められています。
▼電子帳簿保存法第4条3項
3 前項に規定するもののほか、保存義務者は、国税関係書類(財務省令で定めるものを除く。以下この項において同じ。)の全部又は一部について、当該国税関係書類に記載されている事項を財務省令で定める装置により電磁的記録に記録する場合には、財務省令で定めるところにより、当該国税関係書類に係る電磁的記録の保存をもって当該国税関係書類の保存に代えることができる。この場合において、当該国税関係書類に係る電磁的記録の保存が当該財務省令で定めるところに従って行われていないとき(当該国税関係書類の保存が行われている場合を除く。)は、当該保存義務者は、当該電磁的記録を保存すべき期間その他の財務省令で定める要件を満たして当該電磁的記録を保存しなければならない。
引用元:e-gov法令検索『電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律』
ただし、電子データとして保存する場合には以下の措置を行う必要があります。
▼発注書を電子データとして保存する場合の措置
- 改ざん防止のための措置を行う
- 日付・金額・取引で検索できる形式で保存する
改ざん防止のための措置としては、社内における事務処理規定を設けることやシステムの導入等が考えられます。
また、データの検索性を確保するには、システムや表計算ソフトで管理したり、規則的なファイル名をつけたりする方法が有効です。
出典:e-gov法令検索『電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律』/国税庁『電子取引データの保存方法をご確認ください』
『TS-BASE 受発注』で帳票の電子化を実現
発注業務を行う際には、発注元と発注先の間で細かなフローを繰り返すことになります。また、互いの認識に相違が生じないように発注書に詳細を記録して管理しておく必要もあります。
『TS-BASE 受発注』を活用すると、発注業務を効率的に行えます。TS-BASE 受発注は、受発注業務をクラウド上で一元管理できるシステムです。オンライン上で受発注のフローを完結できるほか、発注情報をシステム上で管理できます。
詳しくは、こちらの資料をご確認ください。