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注文書の保管期間・方法とは? 電子帳簿保存法改正のポイントも解説

受発注の現場で取り交わされる注文書(発注書)は、法令に基づいて適切に保管する必要があります。

また、2022年1月からは改正電子帳簿保存法が施行されるため、注文書をはじめとする帳簿書類の電子データの保存についても理解を深めておくことが重要です。

そこで本記事では、注文書を保管する期間・方法をはじめ、2022年1月の法改正に向けた電子データ保管のポイントを解説します。

出典:国税庁『電子帳簿保存法が改正されました


目次[非表示]

  1. 1.注文書の保管期間
    1. 1.1.法人
    2. 1.2.個人事業主
  2. 2.注文書を保管する3つの方法
    1. 2.1.1.紙面で保管する
    2. 2.2.2.紙面を電子データに変換して保管する
      1. 2.2.1.CD・DVDによる保管
      2. 2.2.2.スキャナの読み取りによる保管
      3. 2.2.3.マイクロフィルムによる保管
    3. 2.3.3.電子取引した注文書を電子データで保管する
  3. 3.【2022年1月施行】改正電子帳簿保存法のポイント
    1. 3.1.事前承認制度の廃止
    2. 3.2.タイムスタンプ要件の緩和
    3. 3.3.加重措置の整備
  4. 4.注文書の保管には電子データが有効


注文書の保管期間

注文書を含む帳簿の保管期間は帳簿書類保存制度にて規定されており、法人と個人事業主で異なります。

※2021年7月時点での法令をもとに記載


法人

法人の場合、取引で作成・受領した帳簿書類(注文書を含む)を事業年度の確定申告書の提出期限翌日から7年間保存しなければなりません。

ただし、以下の年月以降に終了・開始した欠損金(赤字)が生じた事業年度については保管期間が延長されます。


▼欠損金(赤字)が生じた事業年度における保管期間

事業年度
保管期間
2008年4月1日以降に終了
9年間
2018年4月1日以後に開始
10年間

出典:国税庁『No.5930 帳簿書類等の保存期間及び保存方法


個人事業主

個人事業主の場合は、注文書の保管期間は5年間です(仕訳帳・総勘定元帳など帳簿については7年間)。青色申告と白色申告、いずれの場合でも期間は同じです。

法人・個人事業主ともに、帳簿書類保存制度を違反したことによる制裁はありません。しかし、収入・経費などを正しく計算して申告するために、帳簿や注文書などを一定期間保管しておくことが重要です。

出典:国税庁『記帳や帳簿等保存・青色申告


注文書を保管する3つの方法

注文書の保管方法は主に3つあります。それぞれの保管方法や申請制度は以下のとおりです。


1.紙面で保管する

注文書は原則紙面で保管することになっています。保管期間が6年目以降の帳簿書類については、マイクロフィルムによる保管も可能です。

ただし、紙面やマイクロフィルムによって注文書を保管する場合、管理に労力がかかるほか、物理的な保管スペースが必要であるという欠点があります。


2.紙面を電子データに変換して保管する

紙の注文書を電子データ(電磁的記録)に変換して保管することも可能です。電子データによる保管方法は3つありますが、いずれも備付け開始の3ヶ月前の日までに税務署へ申請して承認を受ける必要があります。


CD・DVDによる保管

1つ目はCDやDVDなどの外部の記憶媒体に保管する方法です。

注文書の記録をはじめからコンピュータやパソコンなどで行っていた場合に、外部の記憶媒体に保存することが認められています。


スキャナの読み取りによる保管

2つ目は紙の注文書をスキャナで読み取り、画像データとして保管する方法です。2019年の税制改正により、以下の対応も可能になりました。

  • 新たに設立した法人は、3ヶ月以内に承認申請書を提出できる
  • 承認前に作成・受領した注文書でも、2019年9月30日以降に届出を提出することによりスキャナ保存が可能になる

ただし、注文書をスキャナ保存するには、原本性を証明するためのタイムスタンプ※1を受領後3日以内に付与することが要件です。

※1…タイムスタンプとは、日時によってデータが存在することや改ざんが行われていないことを証明するための技術。

出典:国税庁『電子帳簿保存法におけるスキャナ保存の要件が改正されました


マイクロフィルムによる保管

3つ目はコンピュータ・パソコンなどで作成した紙の注文書をマイクロフィルムで保管する方法です。紙の注文書を専用カメラで撮影することで、小さなフィルムとして保存できます。データを閲覧する際は専用の拡大レンズが必要です。


3.電子取引した注文書を電子データで保管する

注文書のやり取りに関して、紙面ではなく電磁的方式によって取引した場合、電子データのまま保管することが可能です。

また、電子データを出力して書面で保管する、あるいはマイクロフィルムに出力して保管することも認められています。電子取引の場合には、いずれの方法でも税務署への承認申請は必要ありません。

出典:国税庁『No.5930 帳簿書類等の保存期間及び保存方法



【2022年1月施行】改正電子帳簿保存法のポイント

2021年度の税制改正により、注文書をはじめとする帳簿書類の保存について定めた“電子帳簿保存法”が見直されました。

この法改正では、注文書の電子データによる保存規制が緩和されます。税務署長への申請制度の廃止やタイムスタンプ要件の緩和、加重措置の整備が主な変更点です。


事前承認制度の廃止

これまでパソコンで電子作成した注文書を電子データとして保管する場合は、事前に税務署長への承認申請が必要でした。

しかし、今回の法改正により、この事前承認制度が廃止となりました。2022年1月1日以降に備付けを開始する帳簿書類から適用されます。


タイムスタンプ要件の緩和

法改正の前は、紙の注文書をスキャナ保存する場合にはタイムスタンプの付与が必要とされていました。

しかし、法改正によって要件が緩和され、期間内に電子データ保管を行ったことが把握できる場合においては、事業者側のタイムスタンプが不要になります。この要件緩和は、たとえば企業が電子データの訂正・削除を行った場合に事実確認ができるクラウドを活用するケースで適用されます。


加重措置の整備

これまで注文書を含む帳簿書類の保管は義務とされていましたが、制度違反に対する制裁はありませんでした。

しかし、今回の法改正により、違反に対する制裁措置が設けられました。スキャナ保存が行われた国税関係書類の電子データ保存について、記録したデータの隠ぺい・仮装があった場合には、重加算税が10%加重されるため、注意が必要です。

出典:国税庁『電子帳簿保存法が改正されました



注文書の保管には電子データが有効

日々の受発注業務で受領した注文書は、法令で定められた一定期間保存しておかなければなりません。

2022年1月からは改正電子帳簿保存法が施行されます。電子データ保存の規制が緩和されるため、注文書のペーパーレス化も後押しされると考えられます。

この機会に、注文書を含む帳簿書類の電子データ保存を図り、紙面による保管の労力を削減してみてはいかがでしょうか。注文書のペーパーレス化には、受発注管理システムの『TS-BASE 受発注』が有効です。

TS-BASE 受発注では、注文に関わる全データをシステム上で一元管理できます。注文者・注文商品・注文日などのさまざまなデータを検索できるため、ファイルやCDを取り出す必要がなく、業務効率を高められます。

また、注文データと出荷情報をひも付けて保管できることも、紙面での保管にはない魅力です。データはクラウド上に保管されるため、紙面・外部記憶装置による保管と比べて安全性を高められる利点もあります。

注文書のペーパーレス化による保管業務の効率化・負荷の軽減を目指す場合は、TS-BASE 受発注の活用をぜひご検討ください。

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