Webの受発注システムの選び方とコストの目安
近年、経済産業省が実施した『令和3年度 電子商取引に関する市場調査』で、DXの推進や新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって、BtoC-EC市場やBtoB-EC市場でのEC(Electronic Commerce:電子商取引)化率が上昇していることが分かっています。
また、中小企業庁が実施した『令和3年度 取引条件改善状況調査』によると、受注側の中小企業の48.5%がWebの受発注システムを導入しているとの結果も報告されています。
今後、受発注システムの需要がさらに高まることが予想されるなか、すでに導入を検討している担当者の方も多いのではないでしょうか。しかし、コストがどれくらいかかるか分からずに、導入を悩んでいる方も少なくありません。
この記事では、受発注システムの運用にかかるコスト目安とシステムの選び方について解説します。
システム導入を検討されている方は、こちらのシミュレーションツールも活用いただけます。
出典:経済産業省『令和3年度 電子商取引に関する市場調査』/中小企業庁『令和3年度 取引条件改善状況調査』
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Webの受発注システムを利用する際のコスト目安
Webの受発注システムは、インターネット上で受発注を行えるシステムのことです。企業間の受発注業務を効率化できて、営業ツールとしても活用できます。
Webの受発注システムの利用には、大きく3つの方法があり、それぞれコスト目安が異なります。
既存サービスを利用したり、自社でシステムを構築したり、利用方法によってどれくらいコストが必要か解説します。
①SaaS
SaaS(Software as a Service)は、クラウドサービスの一つで、インターネット経由でサービス事業者のシステムを利用する方法です。さまざまなデバイスでアクセスできたり、複数ユーザーで同時に利用できたりする特徴があります。
コスト目安は、サービス事業者によって異なりますが、導入までに50万円程度、毎月の運用に20万円程度かかる想定です。
▼コスト目安
種類 |
目安 |
イニシャルコスト |
30~50万円 |
ランニングコスト |
10~20万円 |
※竹田印刷調べ
SaaSは、自社でシステムを開発したり、ハードウェアを新たに購入したりする必要がないため、イニシャルコスト(初期費用)を抑えられます。
料金体系は、アカウント数に応じて月額料金が加算される従量課金制が採用されていることが一般的です。サービス事業者が、システムの管理・保守運用を行うことで、ランニングコスト(運用費用)も抑えられます。ただし、オプション追加や独自のカスタマイズを行う場合には、別途コストがかかります。
②フルスクラッチ
フルスクラッチは、既存のシステムを利用するのではなく、企業が一からシステムを開発して利用する方法です。業界・業種・商慣習などに合わせて自由に構築できる点が特徴です。理想的なシステムを構築できる分、導入までの期間が長期間になりやすいといえます。
▼コスト目安
種類 |
目安 |
イニシャルコスト |
数千万円 |
ランニングコスト |
数十万~数百万円 |
※竹田印刷調べ
開発するシステムの規模や搭載機能数によっても異なりますが、多くの場合イニシャルコストが数千万円かかります。システムの保守運用も自社で対応するため、専門技術者に依頼する人件費をはじめとしたランニングコストも高額になりやすいです。
また、PHP(Hypertext Preprocessor)・新規ブラウザ対応・セキュリティなどの改善がそれぞれ数年に一度発生するため、数十万~数百万円がスポット的にかかります。さらに、独自でドメインを取得する場合には、ドメイン維持費やSSL証明書の発行費などのシステム開発外で一定のコストが発生する点にも注意が必要です。
③ハーフスクラッチ
ハーフスクラッチは、汎用的に販売されている既存のシステムを活用しながら、一部の機能を追加開発して利用する方法です。基本の機能がパッケージ化されていることから、パッケージベース、パッケージ開発とも呼ばれます。
▼コスト目安
種類 |
目安 |
イニシャルコスト |
数百万~数千万円 |
ランニングコスト |
数十万円 |
※竹田印刷調べ
ハーフスクラッチの場合、既存のパッケージを利用するため、フルスクラッチよりもイニシャルコストを抑えやすいことが特徴です。また、SaaSと比べてカスタマイズ性が高くなるため、自社に必要な機能を柔軟に揃えやすくなります。
ただし、追加開発する機能が多くなるほど、コストが高くなる可能性があります。
受発注システムのカスタマイズについては、こちらの記事で解説しています。
Webの受発注システムの導入メリット
Webの受発注システムを導入するメリットは、業務効率化や業務フローの最適化などが挙げられます。
実際に、中小企業庁が実施した『令和3年度 取引条件改善状況調査』によると、受発注システムの導入効果として、以下のような結果が公表されています。
▼受注側が受発注システムの導入で得られた効果(上位5位)
効果 |
割合 |
生産性が向上した |
41.8% |
業務の定型化・マニュアル化が可能になった |
39.9% |
残業時間を減らすことができた |
20.6% |
遠方の取引先との交渉が可能になった |
16.2% |
出張コストを減らすことができた |
15.3% |
※中小企業庁『令和3年度 取引条件改善状況調査』を基に作成
特に、生産性の向上や業務の定型化・マニュアル化の実現などに効果を感じている企業が多いことが分かっています。
これまで紙媒体で行ってきた受発注業務をデジタル化することで、担当者の業務負担を軽減できるほか、入力間違い・入力漏れなどの人的ミスの削減も期待できます。また、業務フローの最適化で受注側・発注側のやり取りをスムーズに行えるため、リードタイムの短縮が可能です。
受発注システムを導入するメリットは、下記の記事でも詳しく解説しています。
受発注業務はシステム化すべき?市場規模とシステム化する際のメリット・課題を解説
さらに、受発注データを蓄積することで、必要な在庫を予測できるようになり、欠品・過剰在庫による機会損失、コスト増加の防止にもつながります。商品・サービスの受発注管理だけでなく、カタログやノベルティといった販促物の管理にも役立ちます。
販促物管理の課題や効率化する方法については、こちらの記事で解説しています。
出典:中小企業庁『令和3年度 取引条件改善状況調査』
Webの受発注システムの選び方
Webの受発注システムを選ぶ際は、予算に加えて、搭載機能やカスタマイズ性の高さ、導入後の運用体制などを考慮する必要があります。
SaaSやハーフスクラッチは、追加できるオプション機能やカスタマイズできる範囲が異なるため、自社にどのような機能が必要かどうかを事前に洗い出しておくことが重要です。
一方のフルスクラッチは、企業が独自開発するため、業界や業種などにマッチしたシステムをつくれますが、その分コストも高くなります。開発後もシステムの保守・運用やドメインの維持費などが必要です。運用にも負担がかかるため、十分な予算の確保や運用体制の整備が欠かせません。
イニシャルコスト・ランニングコストを抑えたい、保守運用のリソースがないといった場合には、手軽に導入できるSaaSのシステムがおすすめです。
受発注システムの機能や選定ポイントは、こちらの記事で詳しく解説しています。
予算に応じて拡張できる『TS-BASE 受発注』がおすすめ
『TS-BASE 受発注』は、受発注業務の課題解決に向けたさまざまな機能を搭載しているSaaSの受発注システムです。
受発注業務に必要な基本的な機能を備えつつ、要望に応じて50種類以上の機能を選択追加できるため、予算を見ながら自社にマッチするシステムへと拡張できます。
また、ハーフスクラッチの対応も可能で、企業さまの課題を踏まえた独自の追加機能開発も承っており、必要に応じて柔軟なカスタマイズを行えます。詳しくは、こちらからご確認ください。
なお、受注管理を効率化する方法については、こちらの記事で解説しています。