BtoB‐ECとは。基本の機能と導入時に押さえておきたい3つのポイント
ICT(情報通信技術)の普及によって業務や商取引のデジタル化が進むなか、インターネットを介して商品の売買を行えるECの導入が広がっています。企業間取引においても例外ではなく、受発注に“BtoB‐EC”を用いる企業が増えています。
企業間取引で受発注を行う管理者のなかには「BtoB‐ECで何ができるのか」「導入する際のポイントはあるか」など気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、BtoB‐ECの概要や基本的な機能、利用形態の種類、導入時に押さえておきたいポイントについて解説します。
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目次[非表示]
BtoB‐ECとは
BtoB‐ECとは、企業間の商取引をインターネット経由で行えるシステムを指します。BtoB(Business to Business)には“企業間取引”、EC(Electronic Commerce)には“電子商取引”という意味があります。
BtoB‐ECを利用して行われる企業間の商取引には、主に商品・資材・原材料などの受発注が挙げられます。
▼BtoB‐ECを利用して行われる企業間の商取引
- 小売事業者が販売する商品を卸売事業者に発注する
- 卸売事業者が小売事業者に販売する商品をメーカーから仕入れる
- メーカーが商品の製造に必要な原材料を事業者に発注する など
また、企業間の商取引に用いられるシステムには、BtoB‐ECのほかにも“EDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)があります。EDIは、企業間の商取引で扱われる見積書・注文書・請求書などの帳票を電子データとしてやり取りするシステムです。
EDIでは、取引先ごとに回線やフォーマットが異なるため、互換性のあるシステムが必要になります。複数の企業で取引が発生する場合には、BtoB‐ECと比べて汎用性・柔軟性が低くなる可能性があります。
なお、Webブラウザ上で利用できるWeb-EDIについては、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
BtoB‐ECの基本的な機能
BtoB‐ECでは、商品の注文から決済に至るまでの受発注フローをシステム上で管理することが可能です。基本的な機能には、以下の5つが挙げられます。
▼BtoB‐ECの機能
機能 |
概要 |
顧客管理機能 |
企業情報や請求先、取引履歴などを管理する |
見積書の作成機能 |
注文内容に応じた見積書を自動で作成・表示する |
価格管理機能 |
取引先ごとに商品の販売価格を設定する |
承認機能 |
注文者側で異なる担当者による承認フローを組み込み、承認を得た場合のみ注文処理を行う |
決済管理機能 |
掛け売り(与信取引)による請求を行う |
BtoB‐ECを利用すると、一つのシステムを利用して取引先ごとに商品の販売価格を設定することが可能です。特定の商品を取引先に応じて出し分けたり、継続的な取引実績がある取引先に対して特別価格を設定したりできるため、販売管理を効率的に行えます。
また、BtoB‐ECを用いた企業間の商取引では、商品を先に納品してから代金を回収する“掛け売り”が基本となることから、請求書の発行や決済方法の選択ができる機能が求められます。
BtoB‐ECにおけるシステム形態の種類
BtoB‐ECのシステム形態には、スモール型とクローズド型の2種類があります。
▼BtoB‐ECのシステム形態
種類 |
概要 |
スモールBtoB型ECサイト |
不特定多数の企業へ一般公開するECサイト |
クローズドBtoB型ECサイト |
会員登録をした取引先のみが利用できるECサイト |
スモールBtoB型ECサイトは、不特定多数の企業がECサイトを利用して注文を行えることから、同じ取引先から定期的な注文が少ない商品を取り扱う場合や、新規顧客を開拓したい場合に適しています。
一方のクローズドBtoB型ECサイトでは、利用できる取引先を限定して取引を行うことが可能です。既存顧客との継続的な取引が発生する場合や、取引先ごとの価格設定、商品の出し分けを行いたい場合に適しています。
また、BtoB型ECサイトは、独自開発する方法のほかにクラウド型システムを利用する方法があります。クラウド型システムを利用することで、開発負担を軽減することも可能です。
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BtoB‐ECの導入時に押さえておきたいポイント
BtoB‐ECを導入して業務の効率化を図るには、現在の受発注フローや社内の基幹システムを考慮してシステムを選定することが重要です。導入前に押さえておきたいポイントには、以下の3つが挙げられます。
1.受発注フローを整理する
BtoB‐ECに求めるシステム要件を設定する前に、現在どのような流れで商取引を行っているかを把握するために受発注フローを整理します。
受発注で対応する業務を洗い出して、作業内容・手順・進行の流れなどを示したフローチャートを作成すると、全体像を俯瞰的に把握できます。これにより、業務課題や問題が明らかとなり、BtoB‐ECでデジタル化するフローを検討できます。
▼受発注フローを整理するポイント
- 各業務の所要時間や実施頻度、担当者なども洗い出す
- 時間を要する作業や人的ミスが発生するフローを特定する
- BtoB‐ECでデジタル化したあとの受発注フローを明確にする
なお、受発注フローでよくある課題と改善の進め方については、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
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2.システムの要件を明確にする
BtoB‐ECに求める機能を洗い出して、システムの要件を明確にします。システムの要件を明確にすることで、自社に合ったBtoB‐ECの構築方法を検討できます。
▼BtoB‐ECの構築方法
構築方法 |
概要 |
ASP(SaaS) |
クラウド事業者が提供する既存のシステムを月額または年額の使用料を支払って利用する方法 |
パッケージ |
ECサイトに必要な標準機能が備わったシステムを自社の要件に合わせてカスタマイズする方法 |
フルスクラッチ |
自社が求める要件に応じてオーダーメイドのECサイトをゼロから開発する方法 |
ASP(SaaS)では、システムの導入を低コストかつスピーディに行えます。ただし、利用できる機能・オプションは提供されるサービスの範囲内に限定されます。
パッケージ型は、ECサイトの土台ができている段階でカスタマイズを行うため、フルスクラッチ型よりも開発期間やコストを抑えやすくなります。ただし、カスタマイズできる範囲はシステムによって異なることに注意が必要です。
フルスクラッチ型では、システムの要件に合わせてゼロからECサイトを開発します。パッケージ型と比べて開発期間とコストはかかりやすくなりますが、自社の商慣習に適した独自のECサイトを構築することが可能です。
3.基幹システムと連携させる
BtoB‐ECを導入する際は、社内の基幹システムと連携させることがポイントです。
BtoB‐ECと基幹システムを連携していない場合には、注文データの集計や在庫情報の登録、決済情報の反映などを手入力で行う必要があり、労力がかかります。
基幹システムと連携することで、受発注の取引に関する情報が一元化されて手入力による転記作業をなくせます。また、社内での情報共有を円滑化することにより、ほかの関連部門との連携もスムーズに行えます。
『TS-BASE 受発注』でBtoBの受発注をデジタル化
BtoB‐ECを導入すると、企業間で行う受発注の取引をシステム上で行えるようになります。自社の使用環境や商慣習を踏まえてシステムの形態と構築方法を選ぶことがポイントです。
『TS-BASE 受発注』は、受発注の業務をクラウドで一元管理できるBtoB向けのシステムです。クローズド型のECサイトを提供しており、BtoBの業務に適した機能が多く揃っています。複数の取引先とのやり取りが発生する場合でもオンラインで受発注のフローを完結できます。また、注文者・受注者・仕入先をつなぐ3つのシステムと50以上の機能を自由に組み合わせて利用できるため、自社の業務フローに沿ったシステム運用がしやすいことが特徴です。
詳しくは、こちらの資料をご確認ください。