適正在庫とは。計算方法と在庫数を維持する3つのコツ
在庫管理業務においては、自社が保有する在庫を管理して一定の水準に維持することが求められます。在庫管理業務で在庫数を調整する際に用いられる水準の一つが適正在庫です。
管理部門の担当者のなかには、「適正在庫はどのように計算すればよいのか」「適正在庫を維持するコツが知りたい」などとお考えの方もいるのではないでしょうか。
この記事では、適正在庫の概要や計算方法、維持するためのコツについて解説します。
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目次[非表示]
- 1.適正在庫とは
- 2.適正在庫を計算する代表的な方法
- 2.1.1.安全在庫+サイクル在庫
- 2.2.2.安全在庫+需要数
- 2.3.3.回転率+回転期間
- 2.4.4.回転率+回転日数
- 2.5.5.交叉比率
- 3.適正在庫を維持する3つのコツ
- 3.1.1.発注方法を使い分ける
- 3.2.2.入出庫数をリアルタイムで把握する
- 3.3.3.需要予測を行う
- 4.効率よく適正在庫を管理するなら『TS-BASE 受発注』がおすすめ
適正在庫とは
適正在庫とは在庫管理における考え方の一つで、欠品のリスクを抑えたうえで過剰在庫にもならない在庫量のことです。
在庫が過剰だと不要な在庫をかかえるために保管コストがかかってしまいます。一方で、在庫不足で欠品を起こすと販売機会の損失につながるリスクがあります。
キャッシュフローの悪化を防いで売上の向上を狙うには、適正在庫を保つことが重要です。
また、適正在庫に似た概念として、安全在庫があります。両者には以下の違いがあります。
▼適正在庫と安全在庫の違い
名称 |
概要 |
適正在庫 |
欠品と過剰在庫を防止するためにバランスを取った在庫量 |
安全在庫 |
予測できない欠品を防ぐために最低限確保しておく在庫量 |
安全在庫では在庫の上限を設定しないため、過剰在庫を防ぐには適正在庫を算出しておくことが必要です。
適正在庫を計算する代表的な方法
適正在庫の計算においては、代表的な方法が複数あります。
1.安全在庫+サイクル在庫
適正在庫を計算する際によく使われる方法として、安全在庫とサイクル在庫の組み合わせが挙げられます。
サイクル在庫とは、発注から次の発注までの間に消費される在庫の半分を指します。この方法では、在庫の最小値を定める安全在庫にサイクル在庫を合計した数値を適正在庫として算出します。
▼安全在庫とサイクル在庫による適正在庫の計算方法
適正在庫(個)=安全在庫(個)+サイクル在庫(個)
ただし、安全在庫とサイクル在庫ともにこれまでの経験則から予測する必要があります。
なお、安全在庫の算出方法ついてはこちらの記事で詳しく解説しています。
安全在庫とは。設定するメリット・デメリットや適正在庫との違い
2.安全在庫+需要数
店舗のような現場では、安全在庫に一定期間の需要数を合計した数値を適正在庫として算出しているケースもあります。
▼安全在庫と需要数による適正在庫の計算方法
適正在庫(個)=安全在庫(個)+一定期間の需要数(個)
需要数から適正在庫を計算する場合、在庫切れを起こしづらい点が特徴です。一方で、需要予測を誤ると過剰在庫につながってしまうリスクもあります。
また、需要数を算出するためには過去のデータが蓄積されていなければなりません。
3.回転率+回転期間
在庫の回転率と回転期間を用いることで、過去のデータから自社が適正在庫を保てているのかを確認できます。
在庫の回転率とは、一定期間で在庫がどの程度入出荷して入れ替わったのかを示す数値です。また、在庫の回転期間とは、在庫が1回入れ替わるまでにかかった期間を示します。
▼回転率と回転期間の計算方法
- 回転率(回)=期間中の売上原価(円)÷平均在庫金額(円)
- 回転期間(年)=棚卸資産(円)÷1年間の売上原価(円)
回転率の数値が大きくて回転期間の数値が小さいほど、自社の在庫数が適正だったと判断できます。
4.回転率+回転日数
適正在庫かどうかの評価は、在庫の回転率から算出できる在庫の回転日数を用いることでも行えます。
在庫の回転日数とは、在庫が回転するまでに何日かかったのかを示す数値です。回転期間と同様、数値が小さいほど在庫数が適正だったといえます。
▼回転日数の計算方法
回転日数(日)=日数(日)÷回転率(回)
5.交叉比率
交叉(こうさ)比率とは、どれだけの儲けが出ているのかを判断する指標です。交叉比率が高ければ、欠品による機会損失や過剰在庫による保管コストへの影響などがあまり発生しておらず、適正な在庫になっていると考えられます。
▼交叉比率の計算方法
交叉比率(%)=回転率(回)×粗利益率(%)
適正在庫を維持する3つのコツ
適正在庫を維持するためには、発注方法の使い分けや入出庫数の把握、需要予測などが重要となります。
1.発注方法を使い分ける
適正在庫を維持するには、発注業務が重要なポイントとなります。発注のタイミングや発注量は発注方式によって異なるため、自社の扱う商品によって使い分けが必要です。
▼発注方式の種類
発注方式 |
発注のタイミング |
仕入れる数量 |
定期発注方式 |
固定された間隔ごと |
需要に応じて毎回調整する |
定量発注方式 |
在庫数が一定量を下回ったとき |
固定の数量 |
高価な商品や需要が変動しやすい商品には、数量の調整が行える定期発注方式が向いています。また、安価な商品や需要が安定している商品の場合は、定量発注方式にしておくと発注管理が行いやすくなります。
なお、定量発注をする際に役立つ発注点の計算方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
発注点を計算して在庫を適正化! 算出方法や管理のポイントを解説
2.入出庫数をリアルタイムで把握する
入出庫数を可視化して把握しておくと、リアルタイムの在庫数を基に在庫管理が行えます。
事前の予測が難しい在庫の急激な減りにも対応しやすくなり、迅速な発注によって適正在庫を維持できるようになります。
入出庫数をリアルタイムで把握するには、IoTを活用したシステムの導入が有効です。
3.需要予測を行う
需要予測を行うことで、需要数から適正在庫を算出して維持できます。ただし、算出した適正在庫の精度は、需要予測の精度に左右されます。
需要予測を担当者の勘や経験に頼っている場合、予測の精度を保つことが難しいだけでなく、属人化することで担当者の退職に対応できなくなる可能性が懸念されます。
属人化を防いだうえで精度に期待できる需要予測を行うためには、需要予測に対応したシステムを導入する方法も考えられます。
効率よく適正在庫を管理するなら『TS-BASE 受発注』がおすすめ
適正在庫を効率的に管理するには、発注の管理や入出庫の可視化、需要予測などが重要です。
『TS-BASE 受発注』は、受発注の機能に加えて、在庫管理と倉庫管理の機能が備わった受発注システムです。適正在庫の管理に向いている以下の特徴があります。
▼TS-BASEが在庫管理に向いている理由
- 受注から出荷までを一つのシステムで管理でき、手間が少ない
- 発注点の管理ができる
- 期間内の入出庫数が一目で分かるデータを出力できる
- 需要予測の機能もあり、今後の出荷ペースの予測ができる
詳しくは、こちらの資料をご覧ください。TS-BASE 受発注と在庫管理ができる倉庫システムの資料をセットでダウンロードいただけます。
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