
DX化は人手不足対策に有効?どのような効果が見込めるのか
人手不足の課題解決策は「採用」だけではありません。システムの力を新たな戦力として導入し、今の業務を効率化させることで、経験豊富な人材以上のパフォーマンスを得ることもできます。自社の業務に合うシステムの導入ができれば、「人を雇う以上の効果を得ることが可能」と言っても過言ではありませんが、企業の考えかたや予算の関係で導入が後回しにされるという現実もあります。導入ハードルや、人手不足に対してどのような効果を得ることができるのかなどを、製造業を例にお伝えしていきます。
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「人手不足だけど、何とか回っている」は危険信号
展示会や商談などの場で、よく聞くフレーズがあります。
「人は足りていないんだけど、何とか回っているんだよね」
人手不足の要因による悩みは企業によってさまざまですが、このセリフは既に危険信号が点滅している状態だと言えます。確かに、今いるメンバーの努力やチームの工夫で業務は滞りないのかもしれませんが、「何とか」という言葉の通り、メンバーそれぞれの許容範囲に対して、常に最大枠を活用しているから業務が成り立っている可能性が高いからです。
とあるWebサイトの掲示板に書き込まれたコメントを紹介します。ここでは、製造現場で働く人が集い、自分が置かれている状況を話したり、アドバイスを求めたりなど、ユーザーが自由にコミュニケーションを図っています。以下は、実際のコメント内容です。
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- 確定注文が来たんだけど、予測の注文数とまるで違う。
- 営業担当者から大量注文を3日で作れって、もう現場は常に混乱状態。
- せっかく立てた生産計画も、急遽きた特急注文で全ての計画が振り出しに戻る。
- 毎日毎日、出荷調整に終われる日々です。いつも遅くまで帰れない。何か対策ありますか?
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日本の素晴らしい文化の中に「協調性」というものがあります。これは、「集団で協力して互いに助け合うことで調和を保つ」という昔からの習慣が自然と身についている場合が多く、日本人らしい価値観だとされています。
一方で、協調性を重んじるばかりに、意見を述べにくい雰囲気や、皆と同じようにしなければならないという心理的圧力が発生し、沈黙の中で不満が蓄積され、知らぬ間に職場環境に暗雲が立ち込めていた…などのケースもあります。これらの書込みも、そのような背景が伺える内容だと推測されます。
今の状況から一歩間違った方向へ向かうと、一気に「回らない」状況に陥る可能性もあります。大体が、ある日突然訪れるのです。なので、「何とか回っている」は、すでに「回っていない」と同等の状態だと言えます。これを防ぐには、皆をまとめる立場のリーダーが、自分達の職場の状況を偽りなく理解し、向き合っていく姿勢が必要とされます。
後回しにされがちなオペレーション業務
製造業を例にお話しします。
最初に、経営側の目線の話になりますが、永続的な企業経営をするためには、安定的な財務体質といった基盤が必要です。資金が潤沢にあるからこそ、雇用の創出や賃金アップ、新たなチャレンジが可能になるからです。
そのためには、売上の向上を図って企業を成長させていくことが必須です。このような背景もあって、上層部は売上に直結する「製品を生み出す工程」への新たな設備投資を優先的に行おうとする傾向があります。
例えば、製造業の原材料調達から製品出荷までの全オペレーションの中だと、「製造する機械」などが優先され、注文・出荷・材料の管理などといった、一見すると売上に直結しない事務的オペレーションは後回しにされがちです。
企業規模や環境にもよりますが、営業担当者が受発注関連の事務作業を行なったり、製造ラインの課長が受注や納期管理を行なったりなど、業務を兼業している場合もあります。担当者個人や現場任せの運用で何とかしのいでいる企業も珍しくないでしょう。
人手不足で専任担当者を配置できないうえに、設備投資の予算もなかなか獲得できず、日々の業務に追われて新たな手段を考える余裕もないまま、何とかしてしまっているのが「事務的な工程部分」になっているケースが多くみられます。
人手不足の課題に対してDX化は有効なのか
予算をかけて業務改善を図ろうとする場合、新たな手段として必ず挙がるのは「DX化」だと思います。事業内容によってテクノロジーが解決できる業務はさまざまあると考えられますが、先述してきた「製造業」「製造担当者・営業担当者」「事務的業務」のキーワードを例に、どのような効果を見込めるのかをご紹介します。
製造現場の事務的業務をDX化した場合
「注文を受けた製品を納期通りに製造・出荷をする」というのが、製品を製造する工場の大切な役割です。そのスタートでもある「注文を受ける」という部分をDX化することで、解決される課題は結構あるのではないでしょうか。
冒頭付近でご紹介した製造業に携わる人の言葉から「納期・数量」は重要な情報だということが分かります。この「情報を伝達する」工程で課題を抱える企業はとても多いです。例えば、以下のような内容です。
- 納期が決まっているのに営業部門から受注情報がなかなかこない。
- 追加注文があると聞いて待っているが、連絡が一向にこない。
- 伝達された注文情報に間違いがあった。
何かしらの理由で受注情報の伝達が遅延しても納期は変わらない場合が多く、しわ寄せは製造する工場が全て背負うことになります。注文情報は、工場内のさまざまなスケジュール管理の起点になるため、一つの間違いや伝達の遅れで、全ての予定の組み直しが発生する場合もあるでしょう。
このようなケースに、「注文を受ける」システムを導入することで、回避できる課題は多いです。注文情報がシステム上にデータで反映すれば、注文確認だけではなく伝達漏れや間違いに気付くこともできます。また、注文情報を管理する人の事務作業や受注のために割く時間も短縮されるため、製造現場と業務を兼任している場合はメインの製造作業に集中できる時間が多くなります。
また、注文が発生したら、製造するための材料確保が必要です。例えば、自社工場内で材料の在庫管理を行っている場合、材料の追加発注に上長の承認が必要とされるケースがあります。注文製品を製造するラインで働く担当社員が「注文書」を作成し、上長に注文書を渡して確認後、上長が発注部門へ発注依頼を送る。という流れは、よく耳にするフローですが、時間がかかりすぎるなどの課題が発生しやすいポイントでもあります。
この工程にシステムを導入できれば、「注文する社員」「承認する上長」双方の業務が効率化できます。Web注文を導入して、在庫管理システムとの連携をすると、Web上で全材料とそれぞれの在庫数を確認することが可能になります。在庫注文を行なう社員は、在庫部屋でたくさんの在庫をかき分けて確認する必要はなくなり、いつでもWeb上から数量を確認して不足分を注文することができます。
注文が発生したら、システムを通して上長への確認依頼を行うことが可能です。複数の製造ラインの統率を任されている場合、上長はこのような承認依頼を複数回対応しないといけません。システムを通して業務が行えるようになれば、特定のタイミングで一気に作業が行えるようになります。また、Webを通して注文が行われることで、注文情報はデータ化されています。その内容を承認することで、発注部門への依頼もシステムを介して行うことが可能です。
このように、さまざまな「情報の伝達」部分をDX化することで、伝達ミスや確認漏れなどのミスを軽減させ、それぞれの作業を効率化させることができます。本来担う役割に集中できる環境づくりを推進することが可能なのです。
製造業の営業担当者の事務的業務をDX化した場合
営業部門の最重要任務は「受注を獲得して売上をつくること」です。本来は、その責務を果たすために全力を注ぐべきですが、関連業務に阻まれているのが大きな課題になっています。
営業担当者は、担当顧客からの注文をメール・FAX・電話で受注をした後、工場に伝達するために受注情報の整理を行います。企業によって方法は異なりますが、作業伝票などへ記入を行なったり、共有用のエクセルシートに入力をしたりなどさまざまです。選任の事務担当者がいれば営業活動に専念できますが、現実的には営業担当者自らが事務処理をしている場合や、総務など別の業務をメインに従事している社員が兼任しているケースが散見されます。
このような、本業ではない事務作業部分へDXの力を活用すると、効果的なリターンを得ることができます。例えば、Web注文のような仕組みを導入すると、営業担当者は外出先から受注情報の共有を行うことができます。その情報を工場が直接観覧できる運用を整えれば、滞っていた作業も進みやすくなるでしょう。
また、商流によっては「お客さまにWeb発注をしてもらう」という選択肢もあります。導入する仕組みは「お客さまが使いやすいモノ」という視点で選抜する必要がありますが、伝達の起点から情報をデータ化することで、受注情報を知る必要がある人物や部門へリアルタイムで情報共有することが可能になります。デジタル情報なので、営業部門はデータ加工作業などを一切せずに情報を渡せるようになります。これは、BtoB、BtoC問わず可能です。
Web注文の導入は、お客さまの立場からも多くのメリットがあります。自社と同様に、お客さま側も多くのタスクに追われながら注文作業を行っています。FAXやメールなどの注文情報を伝えるためのフォーマット作成や電話発注の場合も含め、ヒューマンエラーが発生するリスクを負いながら業務が行われています。
その点、Web注文は手書き作業が削減され、紙やエクセルベースの注文履歴の管理なども無くなります。発注の際は、各商品の詳細ページに表示されている「発注可能数」を見てから、必要数量の注文が行えるようになるため、注文前後の在庫確認のやり取りもなくなります。履歴や進捗はWeb上で確認できるようになるため、お客さまが必要な時に自ら情報を取得することが可能です。
通信販売が普及した昨今、Webへの苦手意識も軽減しているため、お客さまが受け入れてくれる可能性は高まりました。DX化は自社だけではなく、お世話になっている企業担当者の負担を軽減する効果も期待できるのです。
雇用だけではない。システムの活用も人材不足対策への有効策の一つ
人材不足の課題を解決する考えかたは、大きく分けて2つ、
- 増員する
- 今いる人材を最大限に生かす
が挙げられます。
必要な人材を必要な人数採用できればいいですが、さまざまな理由で難しいのが現実です。また、採用をしたからといって、期待するパフォーマンスをいつ頃発揮してくれるのかは未知数で、余剰人員にもなりかねません。人材採用もある意味先行投資です。「結果が見えない未来への投資」という意味では、実はDXへの設備投資も同等の意味合いになるのです。
あるtoB向けサービスを提供している企業は、顧客からの注文~取引先への配送依頼業務部分にシステムを導入したら、以前は4名で行っていた同業務を2名で効率よく処理できるようになりました。空いた時間はリソース不足だった業務へ割り振られ、新たなチャレンジへも視野を向けられるくらい業務環境が改善されたといいます。
現在のメンバーの能力を最大限に活用する補助的役割としても、システムの導入はとても効果的な手段です。ヒューマンエラーのリスクが多いアナログ作業の削減は、業務削減や効率化だけではなく、働きやすい環境作りにもなります。一人一人の負荷が多い過度な業務量は残業の増加やミスを招き、心身への負荷となって職場の雰囲気や高離職率へ派生していきます。
誰もが、働きやすい環境で仕事をしたいと思っています。「今いる人材を最大限に生かす」だけではなく、「今いる人材を大切にする」ためにも、DX化は効果的な策だと言えるでしょう。
受発注業務の人手不足対策に「TS-BASE 受発注」の活用を
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