注文生産方式で提供する販促物受発注業務の負担を80%軽減

モリリン株式会社
業界:業繊維工業(繊維製品専門商社)

インタビュイー情報:産業資材グループ 産業資材2部 MP課丸山 直人さま、美濃和 希さま

課題

・販促物の受発注業務の業務効率化。

・エクセルシートを中心としたアナログ作業の改善。

・お客さまや仕入先に受け入れてもらえる新たな仕組みを探す。

施策

・システムの導入による新たな運用の確立。

・お客さまと仕入先への啓蒙活動。

結果

・TS-BASE 受発注の導入により約80%の業務効率化を実感。

・エクセルシートでの注文は廃止されWeb注文へ切り替え。

・お客さま、仕入先ともに運用変更に対して好意的な反応。

モリリン株式会社のMP課では、受注した販促物の提供に、「注文生産方式(受注生産)」を取り入れている。在庫を持たない手段は、在庫管理が必要ない分、ニーズに応じた迅速な対応・生産を求められるのが一般的だ。MP課では、販促物のサイクルが早い企業の受発注業務を最適化させようと工夫を繰り返していたが、ある繁忙期をきっかけに抜本的な業務プロセスの見直しを行うことになった。どのような課題を、どのような経緯で解決していったのか。同社産業資材グループ 産業資材2部 MP課丸山 直人さま、美濃和 希さまへ話を伺った。

SCMが強みの繊維専門商社モリリン株式会社

注釈: モリリン株式会社提供プロダクト画像



モリリン株式会社(以下、モリリン)は360年以上の長い歴史を誇る繊維専門商社だ。素材開発から製品企画、品質管理、物流管理までを一貫して行う「サプライチェーンマネジメント(SCM)」を強みとし、高品質な繊維製品を世の中に送り出している。

モリリンが関わる商品は幅広く、ショッピングモールやECサイトで目にする人気アパレルブランドの洋服や、快適素材の寝具、さらには災害時に活用されるブルーシートなど多岐にわたる。時代のニーズを捉え、培ってきた高い企画力とデザイン力は、アパレルメーカーのOEM・ODM事業でも多くの企業からの支持を得続けている。

そんなモリリンの中で、「産業資材グループ」は、アパレルとは関連が薄い特異な商材を扱うチームが多い。その中でも、丸山さん・美濃和さんチームは、国内外で店舗を展開する小売企業(以下、A社)などの販促関連のサポートを行っている。これは、丸山さんがアパレル事業から産業資材グループへ移動になった後、社内ベンチャーのような形でスタートしたものが継続的な取引につながっているものだ。

「最初はわたくし一人で営業から受発注まで行っていましたが、受注量の増加に伴い、人員を増やしチームとして動く形にしていきました。それでも受注業務に更なる対策が必要だと感じたのが、2023年ごろの繁忙期のことでした」(丸山さん)。

抜本的な対策の必要性を感じた出来事

イメージ画像 出典:Shutterstock


国内外に衣料品販売店を展開するA社の事業拡大に伴い、MP課がサポートしている販促物の需要も右肩上がりに増えていった。当時を振り返り丸山さんはこう話す。

「A社さまからの注文は、エクセルフォーマットを使用した注文シートをメールで送付いただく運用をしていました。取引開始当時は現在と比べて1/100ぐらいの受注数量で、店舗数の増加に伴って受注数も発送先も品番も増えていきました。弊社では受注業務の増員はしたものの、繁忙期と業務引継ぎが重なったタイミングで新たな対策が必要だと思うようになりました」(丸山さん)。

忙しいながらも、現場の対応力で成り立っていた受注業務も、「引継ぎ」という通常とは異なる要素が追加された時、抜本的な対策が必要だと感じずにはいられない状況になったのだ。原因は、「人力によるアナログ作業」にあることは明白だったが、お客さまの販促物サイクルに合わせた効率的な運用の確立には、今までとは別の視点が必要だったと美濃和さんは話す。

「取り扱いブランドや品番数も多く、大体2週間くらいでビジュアル(販促物のデザイン)の変更があります。一般的な販促物とは異なり、1品番の寿命が短いといいますか…。在庫は一切持たず、常に新たな販促物が打ち出されていきます。都度支給される印刷用データの管理方法などにも頭を悩ませていたので、アナログ部分だけではなく、全体的に良くなる方法があれば…と思っていました」(美濃和さん)。

周囲が受け入れてくれる枠組みをシステムの選定軸に

イメージ画像 出典:Shutterstock


新たな運用の確立を目指し、多様な角度からリソース投入の方法を模索した結果、テクノロジーの力を活用して安定的な運用を作り上げていく方向性になった。同社システム部の協力を得ながら、まずは数社のベンダーを候補として挙げていったという。

ベンダー選定は、「モリリンだけではなく、A社や仕入先の工場にも受け入れてもらえる仕組みを導入する」という基準をもとに進められた。

A社へ新たなシステムの導入を考えていることを伝えると、当然ながら色よい反応は得られなかった。先方視点で考えると、慣れた作業方法を未知の作業へ変える提案なので無理もない反応だ。しかし丸山さんには、夜遅くに届く受注メールを考えると、システムを導入することで少しでも仕事が早く終わるようになれば、A社にとってもメリットが出るという考えがあった。そのためにも、誰でも簡単に注文できる「大手通信販売サイト」のような操作性やデザインをイメージしていた。

工場も同様に、発注方法の変更を考えている旨を伝えると、前向きな返答はなかったという。今までのエクセル注文シートを加工した作業指示書(工場へ注文する時に送付する注文シート)は、工場にとって製造・出荷工程に欠かせない役割を担っていた。形式が変わってしまうと製造工程に悪影響がでてしまう。その部分を考慮した仕組みの構築も必要だった。

「我々の課題解決や業務効率化だけではなく、結局お客さまが使ってくれなければ導入の意味がないですし、製造してくれる工場も置き去りにしてはいけません。工場に対して、“変えるから付き合って”のようなスタンスだと、製造ミスや誤発送につながってお客さまへも迷惑をかけて誰も得をしなくなる。そこら辺を考慮しながら、我々が妥協できない点を明確にして、やりたいことを実現してくれるベンダーさんを探していった結果、TS-BASE 受発注さんを導入する運びになりました」(丸山さん)。

お客さま・仕入先の工場・自社にとって最適な仕組みはTS-BASE 受発注だった

TS-BASE 受発注の実運用に向け、モリリン内の運用を策定していくと同時に、A社への啓蒙活動を行った。A社担当者は、注文で使用するWeb注文の画面を見せながら操作体験をすることで、よい反応を示してくれたという。

「デモ画面をお見せしながら説明するのが最も効果的だったと思います。TS-BASE 受発注の注文サイトは、大手通販サイトのような仕組みで操作も簡単。当初イメージした通りのものでした。A社担当者も、導入後は自然に慣れてくれて、社内運用も工夫を入れたようで概ね好評です」(丸山さん)。


注釈:作業指示書イメージ。品番や発注数量のほかにも、商品のビジュアル(外観)情報も確認できる。


工場へ注文内容を送付する作業指示書は、TS-BASE 受発注内で販促物のビジュアル画像入りの指示書を作成できるようカスタマイズ開発を行った。以前と変わらない帳票形式なので工場側の負担は全くなく、変わらず安定した供給体制が保てているという。

「A社さまからの注文はTS-BASE 受発注内でデータとして受け取れるようになりました。以前はエクセルシートを一つ一つ開いて注文内容を確認する作業や、工場へ送付する注文シートへの加工作業などの工数が多くありましたが、TS-BASE 受発注導入後は画面上で観覧して確認・簡単な操作で工場への指示書が作成できます。受発注業務外の事務処理にデータを活用できるメリットもあって、作業時間に換算すると、以前より80%くらいは削減できていると思います。効率化もですが、気持ち的にもすごく楽になりました」(美濃和さん)。

販促物のサイクルは変わらないため、管理するビジュアルデータの数量に変わりはないが、TS-BASE 受発注導入後は、注文サイトへ注文環境を構築する必要があるので、新たなデザインの情報開示は以前より早いタイミングで行われるようになった。販促物の商品登録作業という新たな工数は増えたが、仕入先情報も同時に登録できるため、受注後の帳票作成時の作業工数が削減され、ミスのリスクが軽減されたという。

「“皆さまに受け入れていただけるように”という導入基準を達成しつつ、モリリン社内の業務効率化も達成できて一定の効果を実感しています。TS-BASE 受発注さんは、我々がやりたいことに耳を傾け、可能・不可能をしっかりお伝えいただいたうえで、実運用レベルに落とし込んでいただけました。我々の体験の中では、ベンダー側の技術とこちらの要望を柔軟に組み合わせてくれたのはTS-BASE 受発注さんだけだったので、その点においてもとても助かりました」(丸山さん)。

企業紹介
モリリン株式会社

事業内容

業界:業繊維工業(繊維製品専門商社)
従業員数:512名(派遣含む)(2025年8月現在)

モリリン株式会社は、設立から120年以上の歴史を誇る繊維専門商社です。原綿・原糸・テキスタイルからアパレル製品、リビング用品、産業資材まで幅広く取り扱い、独自の素材開発とSCM体制により、適品・適価・適時の供給を実現しています。柔軟な対応力とメーカー機能を併せ持ち、新たな価値を創造し続けている企業です。

コーポレートサイト
https://www.moririn.co.jp/


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