在庫数の見える化は、企業間取引の「注文増加」に好影響をもたらす

日販アイ・ピー・エス株式会社
業界:各種商品卸売業

インタビュイー情報:

国際事業部 輸出事業課     白 柊誠さま

課題

・受発注業務のシステム化

・エクセルシートを活用した業務の改善

・お客さまへの在庫提示方法の変更と利便性向上

施策

・TS-BASE 受発注の導入(注文サイト・管理システム)

・TS-BASE 受発注を介した受発注業務への移行

・全てのお客さまへリアルタイム在庫数を提示

結果

・エクセルシートを活用した業務の削減

・メール工数の削減

・受注方法の一本化へ向けた取り組みの推進

・お客さまへの情報の見える化が売上向上に直結

書籍や雑誌などを世の中へ届ける「日販アイ・ピー・エス株式会社」では、お客さまからの注文に「TS-BASE 受発注」を導入することで、受発注業務の効率化に成功した。その効果は、課題だったエクセルシートのメンテナンスにかかるコスト削減だけではなく、お客さまへの販売促進やサービスレベルの向上にも反映されているようだ。実際にどのような変化があったのか。同社の導入前後の運用フローをもとに、業務に携わっている日販アイ・ピー・エス株式会社(以下、日販IPS)国際事業部 輸出事業課 白柊誠さまへ話を伺った。

日本の書籍や雑誌などを世に広げる役割を担う

日販アイ・ピー・エス株式会社 国際事業部 輸出事業課 白柊誠さま


日販IPSでは、出版社やメーカーを通して仕入れた書籍・雑誌・文具雑貨などを海外のさまざまな地域の企業へ輸出する事業を展開している。同社輸出事業課は、多様な地域に居住する日本人や日本のカルチャーを求める人々の心を豊かにする商品を仕入れ、安全にお届けする役割を担っている。

現在、発注者となるお客さまは多様な地域に50社以上あるといい、「TS-BASE 受発注」を通して受発注を行う運用が行われている。運用開始は2023年の夏だった。それから約半年経過した現在、お客さまの注文方法移行率は8割強になり、同社の「受注業務をTS-BASE 受発注に一本化する」という目標は、順調に推進されている状況だ(移行率は在庫注文分野に限る)。

「以前は、“在庫一覧エクセル”を毎朝更新して一斉配信をする受注活動を行っていたため、複数のお客さまから同商品を受注して品切れになった場合は注文をお断りするなど、お客さまへご不便をかけるケースも多く、社内業務も煩雑になっていました。TS-BASE 受発注の導入後は、イレギュラー作業の減少や作業簡素化の効果を実感しています」(白さま)。

TS-BASE 受発注導入前は「在庫の取り合い」が発生

以前の受発注業務は、「エクセルシート」を使用した運用だったため、業務効率化の観点からも、サービスレベルの向上のためにも改善が急務とされていた。その課題解決に伴い、システムの導入検討を開始したという。

「以前の運用の流れは、“在庫一覧エクセル”の作成が起点となっていました。毎朝、基幹システムから自社倉庫の在庫データを抽出し、所定のエクセルシートに転記する作業を行います。この在庫一覧エクセルを元に、毎日の受注作業を行っていました」(白さま)。
注釈:TS-BASE 受発注導入前の業務の流れ。担当者間のメールでのやり取りが複数回発生していた。


「在庫リスト提供のご要望をいただいている一部のお客さまに対して、この在庫一覧エクセルを毎日メールで送信していました。メールを受信したお客さまは、エクセルシートに記載された在庫数を確認しながら、その日の発注数をシートへ入力していきます。その注文数入りのシートをメールに添付して、担当営業へ発注を行っていただくのですが、各社の受注を取りまとめる作業にも手間がかかっていました」(白さま)。

BtoB取引ということもあり、大口のお客さまの注文数は、多い時で1日200品目近くになる。もちろん、それ以外の取引先も存在するため、全取引先からの受注を取りまとめた後、自社倉庫にある在庫数と照合すると、発注数が在庫数を上回ることも珍しくなかったという。その場合、そこから仕入れの段取りを行うが、在庫切れだった場合は「品切れにより出荷不可」の連絡をしなくてはならない。

「ある意味、“在庫の取り合い”のような状態が発生していました。仕入先からの返答待ちも重なると、受注から注文確定(希望商品の出荷可能のご連絡)まで時間もかかってしまい、最善を尽くしてもご希望に添えない場合もございました。

このままではサービスレベルの悪化に加え、社内業務の工数も膨れ上がっていきます。この状態を改善できる方法を探す中で、必要な機能が備わっていたのが『TS-BASE 受発注』でした」(白さま)。

TS-BASE 受発注導入は、「注文数の増加」につながった

TS-BASE 受発注の導入後は、自社倉庫に在庫する「在庫注文」部分を優先に注文方法の移行を推進した。お客さまに向けたマニュアルを制作して操作方法の啓蒙を行い、「TS-BASE 受発注からの注文は、エクセル注文より優先して処理する」などの方針を提示することで、移行を促したという。

「現在は、在庫一覧エクセルに入力していた在庫数をシステムに反映しているので、全てのお客さまが注文サイト上に表示される在庫数を元に注文を行います。そのため、毎朝のタスクだった在庫一覧エクセルのメンテナンス作業や、エクセルのメール送付、発注数入りシートの回収とデータ集約などの作業が削減されました」(白さま)。
注釈:TS-BASE 受発注導入後の業務の流れ。在庫数のデータ連携と見える化は、取引先・日販IPS双方にとって好影響をもたらした。


「登録在庫数以上の注文はできないので、受注後にお断りをするケースも無くなりました。お客さまからは、『TS-BASE 受発注から注文をすると、即出荷確定になるのが嬉しい』という声が多く、大変ご好評いただいています」(白さま)。

そして、以前は要望があったお客さまに限定して、毎朝の在庫一覧エクセルをメールで配信していたが、現在は全取引先がリアルタイムで在庫状況の閲覧とダイレクトな注文ができるようになった。情報の見える化が売上向上につながったのだ。
注釈:「TS-BASE 受発注 注文サイト」 商品注文画面のサンプル。複数の画像を登録することで、一歩踏み込んだ情報提供を行える。また、倉庫の在庫している数量を反映することで、在庫数に適した受注コントロールが可能だ。


また、導入前はエクセルシート上に記載された「商品名」「品番」「値段」などの限られた情報を見て発注していたお客さまも、TS-BASE 受発注の注文サイトでは、「本の装丁」や「説明文章」などの詳細情報の閲覧が可能になった。この変化は、新たなジャンルへの興味関心を抱いてもらうきっかけになったのだ。

お客さまそれぞれが、欲しい情報を受け取って商品をセレクトすることができるようになったのは、ユーザビリティの向上につながっている。そして、その情報をTS-BASE 受発注にご登録いただいている50社強の全てのお客さまへ届けることができている。これが、販売促進と注文数の増加につながった理由だと語った。

今後は「活用の幅を広げる」ことを目標に

「課題だったエクセル業務の改善は、在庫注文の運用をTS-BASE 受発注に移行することで一定の成果を出せたと思っています。今後は、お客さまへのサポートを引き続き強化するとともに、『新刊予約』という新たな分野での活用を進めていきたいです。

“新刊予約運用における懸念点をクリアできる機能が備わっていること”が、システムを検討する段階において最も重視していた点で、TS-BASE 受発注は、その必須条件を満たす唯一のシステムでした。今後は新刊予約の分野にも着手して、お客さまの利便性向上を更に追求できたらと思っています」(白さま)。


▼TS-BASE 受発注の詳しい情報はこちらをご覧ください。

企業紹介
日販アイ・ピー・エス株式会社

事業内容

業界:各種商品卸売業
(海外駐在員向け福利厚生「物資送付サービス」事業、輸出卸売事業、輸入卸売事業、出版流通代行事業ほか) 
従業員数:93名 (2023年4月1日時点)

同社は、出版取次業界最大手「日販グループ」の海外事業会社として1994年に設立。「人と文化のつながりを大切にして、すべての人の心に豊かさを届ける」という理念の元、数多くの「心の豊かさ」を生み出す活動に従事。書籍・雑誌・生活物資を通して、日本と世界をつなげる事業を展開しています。

コーポレートサイト
https://www.nippan-ips.co.jp/

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